レポート(取材記事)

内胸動脈を用いた心拍動下での吻合をマスターする (1/5)

2019年2月23日(土)、メドトロニックイノベーションセンターにて、「New Frontier~Beyond the Future OPCABの醍醐味をエキスパートと共に体感する」が開催されました。今回のプログラムでは、OPCABにおけるテクニックや知識に関して、講義形式のレクチャーとハンズオントレーニングが行われました。 今回のプログラムのトレーナーを務めたのは、新浪博士先生(東京女子医科大学病院)と中村喜次先生(千葉西総合病院)です。

冠動脈吻合術における側側吻合法

はじめに、新浪博士先生から冠動脈吻合術における側側吻合法について、その長所やテクニクに関するお話がありました。

冠動脈バイパス手術における遠位端吻合法

新浪先生

 

冠動脈バイパス手術の遠位端吻合法には、グラフトと冠動脈の「端側吻合法」と「側側吻合法」の2つの方法があり、現在一般的に広く行われているのは端側吻合法です。
この端側吻合法で重要なことは、内胸動脈をはじめとした小口径の動脈グラフトを吻合する際、吻合時の形態をコブラの頭のように丸みを帯びた形に膨らませる、“コブラヘッド”にすることです。しかし、これには高い技術が必要で、術者の技術力によって完成形に差が出てしまうという問題点があります。

側側吻合法の長所

一方、側側吻合法ではコブラヘッドを意識する必要がないため、術者の技量に依存しない普遍的な吻合が可能です。これは側側吻合法の最大の長所といえるでしょう。
また側側吻合法では、吻合部のグラフト面と冠動脈面が一致するため、toe近くにdog earを生じることが少ないため、出血リスクも少ないという長所もあります。
また端側吻合法の場合には、最初に吻合口の長さを決めてしまったら、途中でグラフト切開口の長さを変更することはできません。しかし側側吻合法では、冠動脈切開口がグラフト切開口よりも長い場合には、吻合の途中であってもグラフト切開線を延長することが可能です。
そのほか側側吻合法では、吻合時に血流に関係のないグラフト遠位端を鑷子で持ち上げて内腔を確認することができたり、吻合後はゾンデを内腔に挿入することで開存性を確認したりすることができたりするという長所もあります。

側側吻合法の方法

それでは側側吻合法の具体的な方法についてお話しします。
まずはグラフトの切開方法です。in situ(有茎)グラフトを用いる場合には、ブルドッグ鉗子で血流を遮断してメスで切開したあと、マイクロナイフで切開長にトリミングを行います。
その際の基本的なポイントは、必ず吻合を予定している真ん中にナイフを入れて、上下に切開するということです。こうすることで、グラフトに解離が生じたとしても、あとで解離した部分を縫い込むことが可能です。

グラフトの吻合方法は、術者によってさまざまです。本講義では、私が行っている吻合方法をご説明しますが、皆さんはいろいろな先生の吻合方法をみて、自分に合った方法を身につけていただければと思います。
私の場合、冠動脈はinside-outで、グラフトはoutside-in(最初の1針はinside-out)で、1時→12時→11時の角度でheelから反時計周りに吻合していきます。toeまで 吻合したら、針をバックハンドに持ち替えて、そのまま最後まで吻合します。

次:CABGにおける動脈グラフトの意義~in situ 3本動脈グラフトのみによるOPCAB~

 

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